5月1日(月)

6:45携帯のアラームにて起床。
洗顔し、着替えて朝食に降りる。
朝食は和食を主体にしたバイキングで、パンとヨーグルトもある。

まずは日本人らしく、和朝食から

お魚はサバだったかな? サバと云えば、八戸の名産のひとつだが……。

続いて、2膳目も、和朝食である。

しかし2膳目は、あっさりめのお菜選択である。

お汁は、八戸名物、せんべい汁である。

さすがは八戸! チェーンのホテルのバイキングの朝食にも、せんべい汁が用意されている!

豈これ、頂戴さぜるべけんや、で、ある。

朝食は2膳でおしまい、で、ある。

なぜなんだ!? と、お驚きかも知れない。ムリもない。わたい自身が、自分で驚いている。

別に、ホテルの朝食が不味かったわけではない。かと云って、格別、美味くもなかったが……。

旅の疲れだろうか? まさか……。どんなに疲れていても、食欲には影響しないわたいであるのに……。

ひょっとすると、心因によるものなのかもしれない。

ことほどさように、今回の八戸行には、気が重くなる要因があるのである……。

一旦部屋に戻り、皮膚科へ行く。
定期健診の結果など、詳しく問診を受ける。いままでには、なかったことである。
娘さんの診療を受ける。二度目である。これまた、いままでになく、詳しく症状を聞かれ、わたいも丹念に、ご説明申しあげた。
治療をしてもらい、薬の説明を受ける。
今回治療した手は、翌晩まで手袋を外さないこと、また、保湿薬を換えること、額の塗り薬を、頬や鼻、鼻下など、徐々にそれを広げて行くこと、手には新しい薬を最後に塗ること、などである。

会計を済ませ、昼食に向かう。

場所はもちろん――

「むぅ」である。

最初に八戸を訪れたとき、看護婦さんに教えていただいてから、昼食はかならず、ここ、「むぅ」と、決めている。もっとも、お休みのときは仕方ないが……。

さて、その昼食であるが……

まずは前菜のスープである。

パンプキン・スープ、と、云うのであろうか、ほこほことした甘味のあるスープである。

本菜(?)である。

日替わりランチ(ミートソース・ハンバーグ、イカのリング揚げ)である♡(^^)v

以前にも書いたが、食べ物に好き嫌いのないわたいの、唯一食べられないものが、イカ、である。

刺身や鮨ネタ、あるいは明太子や数の子をまぶしたものなら食べられるが、焼いたり煮たり、揚げたりしたものは、一切ダメ、である。

しかし、これも以前に書いたように、いつもお世話になっている旅宿で出されるイカだけは食べられる。

今回、このイカリングも、美味しくいただけた。

やはり八戸の新鮮な魚介類は、美味しく食べられるものと見える。

ちなみに、このハンバーグも、もとになっている肉は、八戸産のものである。

仕上げのコーヒーである。

コーヒーも大好物の飲料なのだが、これまた、控えたほうがよい、と、聞いた。飲み過ぎると、額に脂が浮くのだそうだ。ほら、よく午後――とりわけ夕方頃――になると、表情が脂ぎってくるでしょう。あれが酷くなるらしいのである。

そんなわけで、原則、コーヒーは1日1杯、と、決めている。

原則、と云うからには、当然、例外もあるわけではあるが……。

それにしても、酒、コーヒーと、わたいにとっては必需品とも云うべきものが次々に止められるのは、ツラいものである。そのうち、女性も禁じられるかもしれない!?(陰の声:その前に、煙草やろ!?)

さてさて、昼食後であるが、頼まれた土産物を買うべく三春屋と云う百貨店へ行く途中、ブルー・インパルスの曲芸飛行を見た。なんでも八戸市制88周年記念の行事なのだそうである。通行人の何人かも、興味深げに見守っていた。
写真を撮ろうと思ったが、スマホでは画面が暗く、撮れなかった。ざんね~ん!(……もう誰も憶えてないだろうな(;^_^A )

三春屋で家族に頼まれた品々を買って、発送の手続きをした後、車道を挟んで斜向かいにあるanimateへ向かう。animateは、CINOと云う4階建てのビルの最上階:4階にある。

そこへ行く途中、道に迷っている、家族と思しき3人と出逢い、お節介かとは思ったが声をかけて、探している道筋を教えた。

役に立てたらいいのだが。

日頃なら、黙って見過ごしたに違いない。旅先では心もちも変化するものと見える。

animateでの目的は、ご当地限定の“萌えクリアー・ファイル”である。

東北各地のお祭りをモチーフにしたもので、以前にも2回ほど購入した。

“萌え”と“ご当地限定”は、いかにも購買意欲を喚起するファクターである。

残念ながら今回、animateにはこれといったものはなかった。

その代わり、CINOの1階にあるリサイクル・ショップで、面白いものを見つけた。新撰組の上着のようなもので、夏の部屋着や、ステージ衣裳によさそうである。

買おうかどうしようか、散々迷ったが、結局買わずにビルを出た。

MOS BURGERでクリームチーズ・テリヤキバーガーを食べ、コーヒーを飲みつつ、本を読んだり、PCで文章をひねくったりして、時間を潰す。

MOS BURGERを出て、煙草屋でCAMELを2箱買い、三八城公園に向かう。

風が強くなり、さすがに冷たくなってくる。途中市役所前広場のベンチで上着を引っ掛ける。

暫く町なかをぶらついていると、右手人差し指のガーゼがとれかけてきた。

ツルハドラッグで紙テープを買い、応急の手当てをする。

そうこうして町を散策しているうちに、時分どきになった。

前にも記したように、ホテルでは晩食は出ない。看護婦さんに教えてもらった、「一平」と云うお店を探す。

割と簡単に見つかった。

こじんまりした店で、昭和の居酒屋、と、云った佇まいである。

暖簾をくぐり、扉を引き開けて中を覗くと、おじちゃんがひとり、カウンターで新聞を読んでいる。

「すいません。開いてますか」

「開いてますよ、どうぞ」

おじちゃんは新聞をたたみ、厨房に入る。

 いろいろ話しているうちに、おばちゃんが姿を現す。お品書き(メニューと云う表現は似つかわしくない)を見て、さんざん悩んだ末、天婦羅定食を頂くことにする。

おじちゃんが厨房内で料理している合間に、いろいろな話をする。

もっとも、わたいが一方的にしゃべっているようなものではあったが……。

八戸に来るようになって、もう十年以上になること……

当時は、いま見たかぎりでは信じられないくらい、皮膚の状態が悪かったこと……

それがこちらの皮膚科のおかげで、現在のように良くなったこと……

それ以来毎年2回、八戸に来ていること……

今日治療を受けてきたこと……

いつも同じ旅宿に泊まっているが、今回は学校の生徒さんたちが試合のために来ていて、泊まれなかったこと……

やむなく近くのホテルに泊まっていること……

ホテルには晩御飯がついてなくて、こうしてお邪魔したこと……

ここのことは、皮膚科の看護婦さんに教えていただいたこと……

「いつもどれくらいいらっしゃるんですか」

「だいたい、一週間くらいです」

「あら、やっぱり、そんなにかかるんですか」

「いえ、治療は一日だけなんですけど、せっかく大阪から八戸まで来たのに、治療だけしてすぐ帰るのも勿体ないですからね。しばらくこっちで、ノンビリさせてもらおうと思いまして』

「あらあら、それはそれは」

「なにしろこちらは、空気もきれいだし、お食事も美味いし、人気もいいし、こう云うところでのんびりしてると、寿命がのびますよ」

「あはは、そうですか。ありがとうございます」

「こないだも、こないだは、去年の九月に、寄せていただいたんですけどね、一週間ばかりいるつもりだったのに、早目に帰らなあかんようになりまして……残念でしたよ。

ちょうどぼくが帰った日の午後に、あの伊調選手のパレードがあったんですから」

「あら、あのとき、こっちにいらっしゃってたんですか」

「ええ、それがちょうど、その日の午前に、帰らんとあかんようになったんです。やっぱ、日頃の行いが悪いんで、バチが当たったんでしょうな」

そう云っておばちゃんと二人で笑ったが、しばらくするとおばちゃんは、奥の部屋に姿を消し、やがて、手になにかを提げて、戻ってきた。

「これ、ごらんになってください」

と、おばちゃんが差し出したのは……ま、まさか!

「えっ、これって、ひょっとして……」

「ええ」おばちゃんは嬉しそうに笑って、「伊調選手のです」

「うわ~!」

「これ、写真撮らせてもらっていいですか?」

「どうぞ、どうぞ」

――そうして撮らせてもらったのが、この写真である。

パレードがあったのが、24日(土)だったから、その前日のものである。

パレード前日に、前夜祭と云うか、祝勝会と云うか、地元の人たちが集まって、歓迎の宴が催されたのである。

これはそのときにいただいたのだとか……。

いやぁ~、それにしても、思いがけずも、凄いものを目にすることができたものである。

「はいっ、お待ち遠さま」

そう云って出てきたのが、これである!

ご覧のとおり、なんとも豪勢な品揃えである!

これが「一平」ちゃんの、天婦羅定食である♡

御飯2膳(大盛をお代りした(^_^;))、海草と豆腐の味噌汁、大根の煮物、あんこうの和え物、天婦羅…海老、イカ、ゲソ、タラの芽、こごみ、自家製漬物)

海老、茄子、イカ、等々。

昼食のときにも書いたが、好き嫌いのないわたいの、唯一食べられないもの、キライな食べ物が、“イカ”である。

しかし……ここ八戸のイカだけは、例外である。じつに美味しくいただける。この天婦羅にも、身だけでなく、烏賊足(ゲソ)もあったが、どちらも美味しかった♡

“こごみ”と云う、いままで知らなかった山菜の天婦羅もあった。幼少の頃、家族で蕨(ワラビ)や薇(ゼンマイ)、土筆などを摘みに行って、母者が晩の食卓に上らせてくれたのを思い出した。懐かしい味である。

それに、天婦羅ではないが、鮟鱇(アンコウ)の和え物!

これがまた、絶品である! とても大阪では食べられない。いや、金に糸目をつけなければ、食べられないこともなかろうが、わたいごときでは、まず、ムリである。大会社か某保守政党に接待される身分にでも、ならなければ、とても食えたものではない。

それが、千円で食べられるのである。天婦羅、御飯、味噌汁、全部含めて、である。なんと贅沢なことか!

鮟鱇の和え物、この1品だけで、優に千円以上の価値はある。それが全部で──お代わりまでして──千円なのだから、信じられない安さである。ご当地八戸ならでは、の、贅沢である。

この豪勢なお食事を、いろいろな話をしながら――ありていに云えば、わたいが一方的にしゃべりながら――頂く。

ばちゃんもおじちゃんも、気さくな、感じのいい人で、厭な表情一つせず、愉しそうに合せてくださる。

在店したのは30分ほどだったが、じつに愉しい晩食の時間であった。

このお店、「一平」ちゃんを出て、町をぶらぶら歩きながら、鷹匠小路――呑み屋が連らなっている――を通って、ホテルに戻る。

治療してもらったので、シャワーは浴びられない。それでもかまわない。この時季の八戸の気候では、まったく汗をかかない。なにしろ、まだ暖房が入っているくらいなのである。

こうして1日――八戸来着の2日目――は終わり、明日に期待を寄せて、ホテルのベッドに横たわるのであった。

明日はこのホテルをチェック・アウトし、いつもの旅宿に引き移る予定である。